第１章の試験に必ずと言っていいほど出題される薬害の歴史その２
スモン訴訟
病名：亜急性脊髄視神経症(スモン)
症状：消化器系の神経症状
原因：キノホルム製剤による副作用
経緯：アメーバ赤痢に使用される整腸剤、キノホルム製剤の重篤な副作用が見落とされていた
副作用被害救済制度のきっかけにもなりました。
スモン訴訟とは
整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、
亜急性脊髄視神経症
（英名 Subacute Myelo-Optico-Neuropathy の頭文字をとってスモンと呼ばれる。）
に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
整腸剤って安全なイメージだった…
キノホルム…こいつには恐ろしい副作用があったんだ
亜急性脊髄視神経。
あ きゅうせい せきずい ししんけい症
亜急性脊髄視神経症…
スモンってどんな症状なの？
- 腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢
- 下半身のしびれや脱力、歩行困難
消化器系の神経症状
(麻痺は上半身にも広がる場合あり。ときに失明に至ることもある)
消化器系の症状を伴う神経症状だ
ひどい腹痛と下痢に加えて下半身が痺れるの？！
上半身にも広がって失明？！
整腸剤だからこそ消化器系に影響したのかなぁ…？
キノホルム製剤の歴史
１９２４年
整腸剤として販売が開始される
100年前？
サリドマイドよりもずっと昔なんだ…
１９５８年頃
消化器症状を伴う特異な神経症状が報告される
販売開始からの34年間、なにも問題がなかったわけじゃないよね…？
このあたりから疑われ始めたのか
１９６０年
米国ではアメーバ赤痢に使用が制限された
アメーバ赤痢にだけ、使っていいことになった
１９７０年８月
我が国で、スモンの原因はキノホルムであるとの説が発表された
我が国、よく発表した！
1970年！
１９７０年９月
販売が停止された
サリドマイドの時から学んだのかな？
今回はすぐに対処されたんだね
１９７１年５月
国および製薬企業を被告として提訴された
こんな危ない医薬品の販売を許可した国の責任も大きい
被告である国は、スモン患者の早期救済のためには、和解による解決が望ましいとの基本方針に立って…
和解することが早期救済につながるの？
国は早期救済のために様々な条件(後述)を提示して、和解を申し出たんだ
１９７７年１０月
東京地裁において和解が成立
それ以来、各地の地裁や高裁において和解が相次ぎ…
１９７９年９月
全面和解が成立した
国がスモン患者に対して約束した条件というのは…
- 治療研究施設の整備
- 治療法の開発調査研究の推進
治療法の開発・再発防止のため
- 施術費および医療費の自己負担分の公費負担
- 世帯厚生資金貸付による生活資金の貸付
- 重症患者に対する介護事業
患者の生活の保障のため
が講じられている。
うーん、沢山あるけど
自分の身に置き換えると…
最低でもこれらはやってほしい！って思うよね！
そう、覚えるんじゃなくて、知るんだ。そのためには当事者意識が必要だ
患者の生活の保障や再発の防止につながる研究など
今後は国民の健康の為にさらなる最善を尽くすことを条件として、和解が成立したんだ
医薬品副作用被害救済制度の創設
サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、１９７９年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
全面和解が成立した年だな！
これ知ってる！ママが薬疹で入院したとき世話になった！
これらを契機として作られた制度だったんだね
第５章にて詳しく触れているぞ！
ちょっと整理
あのさ、ちょっとしたボヤキなんだけど
「サリドマイド訴訟」は成分名
「スモン訴訟」は病名
どっちが成分名どっちが病名か、ぐちゃぐちゃになりやすいんだよな
確かに、「スモン」って成分名だっけ？あれ？ってなるかも
よーく理解して整理すること！
ほい
成分名：サリドマイド
作用：鎮静
症状：胎児の催奇形性
成分名が名称に！
成分名：キノホルム
作用：整腸
症状：スモン(亜急性脊髄視神経症)
病名が名称に！
〇×問題
キノホルム製剤を使用したことによる亜急性脊髄視神経症にり患したことに対する損害賠償訴訟
ひっかけで「亜急性」を「慢性」と出題することがあるかも…
後遺症が残る
販売の許可を下した国と
製造販売をした製薬企業
両方が提訴された
スモンの原因がキノホルムである説は我が国で発表され、すぐに対処された
そして同年９月に販売が停止された
患者に対するさまざまな保障・治療の研究の約束を条件に、和解が成立している。
同年に医薬品副作用被害救済制度が創立された
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