医薬品はそのすべてが解明していないということを第1章で学びました。なので最新の医学・薬学においても予見しえない副作用が発生することがあります。
また、副作用が起こり得ると分かっていても医療上の必要性から使用せざるを得ない場合もあります。
なのにもかかわらず!
うわびっくりした
副作用による健康被害については民法での賠償責任を追及することが難しく、できたとしても多大な労力と時間を費やさなければなりません
まじかよ!!
救いはないのか?!
あります!!
そういった困難を解決するために設立されたのが医薬品副作用被害救済制度だ!
素晴らしいぞ世の中ー!
ママがちょうど薬疹で入院することになって困ってたんだ!
医薬品副作用被害救済制度
これまでの薬害事例から、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法※」による救済制度が創設されました。
略して「総合機構」
※その当時は「医薬品副作用被害救済基金法」
ありがとう総合機構
医薬品(要指導医薬品・一般用医薬品を含む)を適正に使用したにもかかわらず副作用による一定の健康被害が生じた場合の医療費等の給付をはじめとした迅速な救済。
医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による被害者の迅速な救済を図るため、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度。
医薬品を適正に使用したにもかかわらず
しつこい
1980年5月より運営開始!
ママを救済したいんだけど、どうすればいい?
【流れ】
健康被害を受けた本人または家族からの給付請求
オレが請求しに行く!
その健康被害が医薬品の副作用によるものかどうか?
それ以外に思い当たるものがない
医薬品が適正に使用されたかどうか?
ちゃんと指示通りに使ってたよ
薬事・食品衛生審議会の諮問・答申を経て、厚生労働大臣が判定
公正な判断ヨロ
医療費、障害年金、遺族年金等の各種給付
ママ!朗報だよー!
- 給付費(治療に関わるお金)
製造販売業者から年度ごとに納付される拠出金があてられる - 事務費(手続きに掛かるお金)
その2分の1相当額は国庫補助により賄われる
事務費の半分は国が出してくれて…
治療費はメーカーの拠出金からだね
拠出金…助け合うために出し合うお金。メーカーさんが毎年、総合機構に納めている
生物由来製品感染等被害救済制度
生物由来だ!
あ!CJD訴訟がきっかけでできたやつ!
生物由来製品が原因で健康被害が生じたときの迅速な救済のための制度です
2002年の薬事法改正に際して、2004年4月1日以降に生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず、それを介して生じた感染等による疾病、障害または死亡について、医療費、障害年金、遺族年金等の給付を行う。
これも適正に使用したにもかかわらず、だね
医薬品副作用被害救済制度等への案内、窓口紹介
被害者の救済のためには医薬関係者の理解と協力が不可欠です
この制度を知っている人は実は少ない。俺たちの出番だ!
このような救済制度があること
相談窓口の紹介
救済の手助けをする側の俺たちは詳しくなくっちゃいけない!
すぐに引き出せるよう、頭に入れておこうな!
以下の表は覚えるのが大変ですが、自身や家族が被害にあったことを想定してシミュレーションしてみてください。
給付の種類 | 請求の期限 | |
医療費 | 治療(*)に要した費用(保険適用外の自己負担分) | 医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われたときから5年以内 |
医療手当 | 治療(*)に伴う医療費以外の費用(定額) | その医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内 |
障害年金 | 一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償等(定額) | 請求期限なし |
障害児養育 年金 |
一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に対して給付されるもの(定額) | 請求期限なし |
遺族年金 | 生計維持者(大黒柱)が死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的として給付されるもの(定額)最高10年間を限度 | 死亡のときから5年以内(*2)。遺族年金を受けることができる先順位者が死亡した場合には、その死亡のときから2年以内。 |
遺族一時金 | 生計維持者以外の人(大黒柱以外の人)が死亡した場合に、その遺族に対する見舞等(定額) | 遺族年金と同じ |
葬祭料 | 死亡した人の葬祭を行うことに伴う出費に着目して給付されるもの(定額) | 遺族年金と同じ |
給付の種類によっては請求期限が定められており、その期限を過ぎた分については請求できないので注意する必要があります
救済給付の支給対象範囲
条件は医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって入院が必要とされる健康被害が生じた場合。
添付文書や外箱などに記載されている使用方法に従っていることが基本です。
それを踏まえて…
- 副作用による疾病のため入院を要する程度の医療
必ずしも「入院すること」が条件ではなく、入院治療が必要と認められたものの、やむを得ず自宅療養となった場合も含まれます。 - 副作用による重い後遺症(日常生活に激しい制限を受ける程度以上の障害)が残った場合。
逆に対象とならない場合はこちら
- 不適正な使用
- 適正に使用して生じた健康被害であっても特に医療機関での治療を要さない軽度のもの
- 殺虫剤・殺鼠剤
正しく使用すれば人体に害はないためえ、じゃあ他人に吹っ掛けられて具合悪くなっても泣き寝入り?
救済制度というか傷害罪が適用されるのでは
- 殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)
清掃用・器具消毒用など - 一般用検査薬
正しく使用した場合にのみ害はないとされる - 一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)
一般的に副作用があるとは考えにくいもの - 無承認無許可医薬品
いわゆる健康食品として販売されたもののほか、個人輸入により入手された医薬品を含む。
救済給付の請求にあたって必要な書類
- 医師の診断書
症状を証明 - 要した医療費を証明する書類(領収書等)
かかった費用の証明 - その医薬品を販売等した薬局開設者、医薬品の販売業者が作成した販売証明書
総合機構のHPから様式がDL、印刷できます
わたくしたち登録販売者の役目は
この制度の紹介と、販売証明書の発行のための円滑な対応です!
めちゃくちゃうろたえてたじゃん
救済被害の対象にならないものの、メーカーさんに責任が?
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