第1章の試験に必ずと言っていいほど出題される薬害の歴史その4
「CJD訴訟」
病名:クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
症状:認知症のような症状が現れ、死に至る重篤な神経難病
原因:プリオン(タンパク質)
経緯:プリオンに汚染されたヒト乾燥硬膜が脳外科手術に使われ、脳の組織に感染
CJD訴訟とは
脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
Creutzfeldt ドイツの神経病理学者の名前
Jakob 〃
disease 疾患
クロイツフェルト・ヤコブ病?!
原因は、プリオンという物質が脳の組織に感染したこと
ええ、脳みそに…?!
しだいに認知症のような症状が現れ、死に至る重篤な神経難病
それがクロイツフェルト・ヤコブだ
その原因になったプリオンって何者?
細菌でもウィルスでもないタンパク質の一種だ
タンパク質が原因?!
そんなことってある?!
そのプリオンがどうして脳に感染しちゃったの?
それは脳外科手術での出来事だ
損傷部分をカバーするためにヒト乾燥硬膜というものが使われていた
ヒト乾燥硬膜自体に害はないが、プリオンに汚染されていたものが使われてしまったんだ
ヒト乾燥硬膜がプリオンを持ち込んじゃったんだ…
プリオンって取り除けないの?
取り除くというか、不活化だな
通常なら、それが行われている
不活化=無力化、害がないようにすること
本当は不活化のために十分な化学的処理が行われるんだが、不十分なまま製品として流通してしまったんだ
じゃあもっと突き詰めると、
不活化処理の不十分が原因だね
そんなー!!
その不十分なものを、手術で身体の一部として取り付けられるなんて…
こうして国はもちろん
輸入販売業者、製造業者…
この三者を被告として裁判が始まったんだ
輸入販売業者も責任に問われたの?
安全な流通が損なわれたからな
長く争うことになったのかな…
CJD訴訟の歴史
1996年11月
大津地裁で提訴される(滋賀県)
1997年9月
東京地裁で提訴される
2001年11月
大津地裁、東京地裁が和解勧告を行う
早期解決が被害者の救済につながるとして、和解を勧めた
2002年3月
両地裁で和解が成立
2002年
薬事法改正
何年も争ったけど、和解してすぐに薬事法が改正されたんだね
国がとった対策
国(厚生労働大臣)は、生物由来の医薬品等によるHIVやCJDの感染被害が多発したことにかんがみ、こうした医薬品等の安全性を確保するため必要な規制の強化を行うとともに、生物由来の医薬品等による被害の救済制度を早期に創設できるよう努めることを誓約した。
HIVもCJDも、生物由来の医薬品が原因だったね
HIVでさんざん反省したのに…
国はこれを機に規制を強化して
生物由来関連の救済制度の創設を急ぐことを約束したんだ
失敗と反省の繰り返し
…信じていいの?
- 生物由来製品の安全対策強化
- 総合機構※による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設
安全と救済に関して改正された!
※総合機構=独立行政法人医薬品医療機器総合機構
総合機構はもともと医薬品副作用被害救済制度を設けていましたが、今回のことで新しく生物由来製品に関する救済制度も設立されました。
生物由来だからって必ずしも安全じゃないもんね
- CJD患者の入院対策
- 在宅対策の充実
- CJDの診断・治療法の研究開発
- CJDに関する正しい知識の普及・啓発
- 患者家族・遺族に対する相談事業等に対する支援
- CJD症例情報の把握
- ヒト乾燥硬膜の移植の有無を確認するための患者診療録の長期保存
ふむふむ…
覚えることが沢山だけど…
自分の身に置き換えて
これくらいはして欲しい!
って全部言えると思う
当事者意識を持つことが、理解への近道だ
これで薬害事件の記事は最後だけど、もう起こらないよね?
オレすっかり疑心暗鬼だよ
絶対に起こらないとは言い切れない。どんなことも、予想外の連発だらけだからな
だからこそ過去の事例から学びを得て、早期に対処する姿勢を持ち続けることが大切だ
医薬品を販売するオレたちにできることは、どんな些細なことでも情報を集めて報告・発信すること
国や製薬企業だけの問題じゃない。オレたちだって副作用による健康被害を防ぐための債務を負う一員だからな!
〇×問題
ヒト乾燥硬膜は原因のプリオンを持ち込んでしまっただけ
プリオンはウィルスでも細菌でもありません
CJDは認知症に類似した症状が現れる重篤な神経難病。スモンとCJD、共に神経系の病気なので間違われやすい。
独立行…~…機構までは正解。CJD訴訟を機に設立されたのは「生物由来成分感染等被害救済制度」
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