アレルギー用薬、かぜ薬、催眠鎮静薬、乗り物酔い防止薬など、幅広い薬効群にて登場する抗ヒスタミン成分。一体どのようにしてヒスタミンの作用をキャンセルしているのでしょうか。
…その前に、ヒスタミンってなんなのでしょうか?
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抗ヒスタミン成分とは?
ヒスタミンに抗う成分
カルビノキサミンマレイン酸塩
クレマスチンフマル酸塩
ジフェンヒドラミン塩酸塩
ジフェニルピラリン塩酸塩
ジフェニルピラリンテオクル酸塩
ジフェンヒドラミンサリチル酸塩等
プロメタジンテオクル酸塩
トリプロリジン塩酸塩
メクリジン塩酸塩
ジメンヒドリナート(ジフェンヒドラミンテオクル酸塩)
メキタジン
アゼラスチン
エメダスチン
ケトチフェン
言われなくても覚えられないヨ
肥満細胞から出てくるヒスタミンは、受容体(タンパク質)と反応してアレルギーの症状を起こします。抗ヒスタミン成分はそれを邪魔して、ヒスタミンの働きを抑えます。
まーた知らん単語が
ポンポン出てきた
肥満細胞?受容体?
ヒスタミンすら知らんのにそれに抗う成分を出されてもさぁ
ですよね
抗ヒスタミン成分を説明するために、まずはヒスタミンについてを説明します
ヒスタミンとは?
細胞と細胞の間の刺激の伝達を担う生理活性物質。
機械でいう、導線かな?
受容体という特定のたんぱく質と反応することで、なんかしらのコトを起こします。
なんかしらのコトってなんだよ!
血管が広がったり、血管内の血漿タンパク質が外(組織中)に漏れやすくなったり。
そして以下のようにアレルギー症状を起こします
ちょ、もうちょいゆっくり…
だいじょうぶ!
一枚ずつ説明しますね
ヒスタミンと受容体が反応する一連の流れ
花粉アレルギー体質の人がいるとします
アレルゲンがどこにもなく、平和ですね。各器官も穏やかです。
この絵に載っているものについて…
肥満細胞(マスト細胞とも)
目や鼻の粘膜・皮膚・気管支など、外部と接する部分の粘膜などに点在します。こんな名ではありますが肥満とは一切関係がありません。体内にたくさんあるからと言って、太っているわけではありません。
誰だよ!太ってる人には肥満細胞がいっぱいあるって言った奴は!
受容体
肥満細胞から放出されたヒスタミンをキャッチするたんぱく質。キャッチしたヒスタミンと反応することでアレルギー症状が起こります。
体内に花粉が入りました!
花粉は基本的に身体には無害なものですが、人によっては「悪いものだ」と誤認し、攻撃しようとします。そんな免疫反応のエラーがアレルギーです。さぁ、アレルゲンと戦う準備が始まってしまいます。
入ってきたアレルゲンと戦うために、IgE抗体と肥満細胞が結合して武装します。
IgE抗体、特定のアレルゲンに対してぶちのめそうと戦ってくれます。免疫グロブリンとも言います。
体内の悪いものと戦ってくれる頼もしいヤツなんですが…
ときに無害な相手にまで冤罪吹っ掛けちゃう困ったさんでもあります
敵(アレルゲン)がIgE抗体と反応!どうなるのでしょうか。
IgE抗体にアレルゲンがくっつくことで、肥満細胞が爆発してヒスタミンが放出!放出したヒスタミンが受容体と反応することで各器官で免疫反応が起こります。
これがアレルギー症状です。良かれと思って戦ってくれているけれど、本人にとっては嬉しくありません。ひどい目に合っています。
大惨事やん
出番ですよ!
抗ヒスタミン!
これが抗ヒスタミン成分!
↓↓これが↓↓
↓↓こうなる↓↓
肥満細胞から放出したヒスタミンと受容体が結合するのを阻止するのが抗ヒスタミン!
野球に例えるなら投手が肥満細胞、ボールがヒスタミン、捕手が受容体、10割打率の打者が抗ヒスタミン。
じゃあヒスタミンってあってはいけない悪い奴なんだね?!
いーえ!違うんです。
違うんですよ…!
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ヒスタミンのはたらき
厄介なことだけではありません
むやみに抑えると逆に困ることもあるんですよ
脳の下部にある「眠る」・「起きる」に関与する部位で、神経細胞の刺激を介して覚醒の維持や調節を行う働きを担っています。脳内におけるヒスタミン刺激が低下すると、眠気を促します。
そっか、ヤな奴だと思ってたけど
程よく起きてられるのって
ヒスタミンのおかげっぽい
抗ヒスタミン成分の代表的な副作用に「眠気」がありますね
気をつけなきゃ…
特に注意が必要なのがジフェンヒドラミン塩酸塩です。抗ヒスタミン成分の中でもそのような中枢作用が強いんですよ
ジフェンヒドラミン塩酸塩…こいつがボスか
しかも乳汁中に移行するので授乳中の人は避けましょう!
オレには愛しいおくさんと乳飲み子がいるんだ!ジフェンはヤダー!!絶対買わない!!
食べ物に潜むヒスタミン
食品(特に、サバなどの生魚)が傷むとヒスタミンに似た物質(ヒスタミン様物質)が生成することがあり、そうした食品を摂取することによって生じる蕁麻疹もあります。
食べるヒスタミン…
痛んでるのなら加熱すれば…
焼いても無駄なのです
免疫反応から体内でヒスタミンを出すんじゃなくて、外からヒスタミンを摂り入れちゃうんだ…ちょっとこわい
アレルギーに似た症状が出たりしますが、これはアレルギーではなくヒスタミンによる中毒症状です
さいごに
今回の記事ではヒスタミン・抗ヒスタミン成分とは何か、それを取り巻く身体の組織についてを書きました。抗ヒスタミン成分は、成分の種類がでたらめに多いです。
幅広く用いられているぶん、副作用や併用に関する注意事項も多いです。
成分すべて、一つ一つに焦点を当てるのは難しいですが、特徴的な作用を持つ成分から覚えていきましょう😊
抗ヒスタミン成分に関する次の記事では成分名に触れていきたいと思います。
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